ABSTRACT 1546(P5-17)
ヒト食道扁平上皮癌における第9染色体長腕共通欠失領域を含む約1Mb の全DNA配列の解析:西脇忠1,2、醍醐弥太郎1、川添輝1、藤井義敬2、中村祐輔1(1東大・医科研・ヒトゲノム解析センター・シークエンス解析、2名市大・医・2外)
A 1-Mb DNA Sequences of Commonly Deleted Region in Human Squamous Cell Carcinoma of Esophagus on Long Arm of Chromosome 9 : Tadashi NISHIWAKI1,2,Yataro DAIGO1,Teru KAWASOE1,Yoshitaka FUJII2, Yusuke NAKAMURA1(1.Dept.Mol.Med.,Inst.Med.Sci., Univ.Tokyo.,2.2nd Dept.Surg., Nagoya CIty Univ.)
食道扁平上皮癌、頭頚部扁平上皮癌、肺扁平上皮癌では第9染色体長腕遠位側においてLOHの頻度が高いことから、この領域に扁平上皮腫瘍の発生に共通に関与する癌抑制遺伝子の存在が示唆されている。われわれはヒト食道癌症例をマイクロサテライトマーカーで解析することにより共通欠失領域を9q32の約400kbの範囲に限局し、さらに癌抑制遺伝子を単離することを目的としてこの領域を含むYACクローン約1000kbのゲノムDNAの全塩基配列の決定を行った。これまでにGRAIL2プログラムにより60個のエクソン候補領域を同定し、データベースの検索により16個のEST (expressed sequence tag)がこの領域に存在することを確認した。RT-PCR法を用いてこれらのエクソン領域の発現の有無の検討を行い、Pregnancy -associated plasma protein-A (PAPP-A) 遺伝子 および、2個の新規遺伝子をこれまでに単離している。現在この約1Mbの領域に存在するすべての遺伝子の単離と、食道癌症例におけるそれらの遺伝子の変異の有無を検討している。