ABSTRACT 1547(P5-17)
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食道癌における第13番染色体長腕の欠失領域の解析と臨床病理学的検討 : 原田英樹1, 3, 嶋田裕3, 篠田雅幸2, 田中尚1, 3, 今村正之3, 石崎寛治1 (1愛知がんセ 研・放, 2愛知がんセ・病・胸外, 3京大・医・腫瘍外)

13q deletion mapping and clinicopathological study in esophageal cancer : Hideki HARADA1, 3, Yutaka SHIMADA3, Masayuki SHINODA2, Hisashi TANAKA1,3, Masayuki IMAMURA3, Kanji ISHIZAKI1 (1Lab.Experimental Radio., Aichi Cancer Ctr. Res. Inst., 2Dept. of Thoracic Surg., Aichi Cancer Ctr. Hosp., 3Dept. of Surg. and Surg. Basic Science, Kyoto Univ. )

我々は食道癌における第13番染色体長腕(13q)のLOH(Loss Of Heterozygosity)と食道癌の予後及びリンパ節転移が有意に関係することを報告した。13qには癌抑制遺伝子としてRB遺伝子、BRCA2遺伝子が存在している。今回我々は、外科的に切除された食道癌症例を用いて13qの欠失領域の解析を行い、臨床病理学的諸因子との関連を検討した。64症例中33例(51.6%)にいずれかのマーカーでLOHがみられ、BRCA2遺伝子を含む領域、RB遺伝子を含む領域に共通欠失領域を認めた。またリンパ節転移陽性例43例中29例(67.4%)にいずれかのマーカーでLOHがみられ、13qのLOHとリンパ節転移において有意な相関(p=0.0004)を認めた。さらにBRCA2遺伝子を含む共通欠失領域内のLOHとリンパ節転移との間に有意な相関(p=0.01)を認めた。このためBRCA2遺伝子が食道癌での標的遺伝子である可能性も考えられたが、BRCA2遺伝子の全コーディングエクソンのPCR-SSCP法による検索では遺伝子の変異は認めなかった。以上より13qのBRCA2遺伝子近傍に、食道癌のリンパ節転移に関与する癌抑制遺伝子が存在する可能性が示唆された。