ABSTRACT 1548(P5-17)
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ヒト肺小細胞がん細胞における第 5 染色体長 腕上のホモ欠失領域の解析:田村研治、信国宇洋、三輪 亘、関谷剛男、村上善則(国立がんセ・研・腫瘍遺伝子)

Analysis of a homozygously deleted region on the long arm of chromosome 5 in a human small cell lung cancer cell line : Kenji TAMURA, Takahiro NOBUKUNI, Wataru MIWA, Takao SEKIYA & Yoshinori MURAKAMI (Oncogene Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

[目的]ヒト肺小細胞がんでは第 5 染色体長腕のヘテロ接合性の消失が高頻度に認められ、新規がん抑制遺伝子の存在が示唆される。この単離を目的として、肺小細胞がん細胞で見出されたホモ欠失領域の構造解析を行った。[方法と結果]肺小細胞がん細胞 13 株に関して、第 5 染色体長腕上の 30 個の STS 塩基配列の有無をサザン・ブロット解析、並びに内在指標を用いた PCR により検討し、1 株の細胞で一か所の STS のホモ欠失を見出した。放射線照射雑種細胞パネルを用いて、この STS の座位を 5q12-q14 領域に局在化した。この STS 周辺の約 600 塩基対の塩基配列は、既知の遺伝子のそれと相同性を示さなかった。そこで、この STS を含む YAC クローン、 BAC クローン、l ファージクローンを各々単離し、当該細胞における各クローンの末端塩基配列のホモ欠失の有無を検討した。この結果、ホモ欠失領域は 1 個の BAC クローン内の約 30 キロ塩基対以内の部位に限定された。[考察]ホモ欠失領域内に肺小細胞がんに関与するがん抑制遺伝子の存在が示唆される。