ABSTRACT 1550(P5-17)
肺癌に高頻度に検出される第17番染色体短腕(17p)欠失の再評価とROX/Mnt遺伝子の変異検索:小西裕之1,7,高橋孝夫1,6,小崎健一1,2,谷田部恭4,光冨徹哉5,佐治重豊6,松田暉7,高橋利忠3,高橋隆1,2(1愛知がんセ・研・超微,2病態,3免疫;4愛知がんセ・病・臨検,5胸外; 6岐阜大・医・二外; 7阪大・医・一外)
Deletion mapping of 17p and molecular analysis of ROX/Mnt in lung cancers: Hiroyuki KONISHI1,7, Takao TAKAHASHI1,6, Ken-ichi KOZAKI1,2, Yasushi YATABE4, Tetsuya MITSUDOMI5, Shigetoyo SAJI6, Hikaru MATSUDA7, Toshitada TAKAHASHI3, Takashi TAKAHASHI1,2 (1Lab. Ultrastruct. Res., 2Pathophisiol. Unit, 3Lab. Immunol., Aichi Cancer Cntr. Res. Inst. ;4Dept. Pathol. Clin. Lab., 5Dept. Thorac. Surg., Aichi Cancer Cntr. Hosp.; 6Dept. Surg.II, Gifu Univ.; 7Dept. Surg.I, Osaka Univ.)
【目的】 肺癌における17p欠失領域地図の作成を行い、p53以外のがん抑制遺伝子の関与について検討するとともに、17p13.3に存在するmyc antagonistであるROX/Mntの変異検索を行った。【対象と方法】 100例の原発性肺癌(小細胞癌14、腺癌54、扁平上皮癌28、大細胞癌4) を用いて、p53遺伝子(17p13.1)を含む第17染色体上の9個のマイクロサテライトマーカーによる欠失の検討と、PCR-SSCP法によるp53遺伝子変異の検索を行った。ROX/Mntの変異検索は52例においてRT-PCR-SSCP法により行った。【結果】 p53遺伝子領域の欠失を49%の症例に認めたのに対し、17p13.3領域の欠失は65%の症例に認めた。17p13.3欠失はp53変異或いは欠失を持たない症例にも検出された。17p13.3領域の共通欠失領域はROX/Mnt遺伝子を含むD17S379とD17S695を境界とする約10cMに限定されたが、ROX/Mnt遺伝子には体細胞変異を認めなかった。【考察】 肺癌の発症に17p13.3領域に存在するp53と独立したがん抑制遺伝子の関与が示唆された。肺癌以外の複数の悪性腫瘍における欠失領域と共通し、同一のがん抑制遺伝子の関与も示唆された。