ABSTRACT 1555(P5-17)
肝癌における第4番染色体長腕上の欠失領域の解析: 坂東功一1,2,永井尚生1,河村直樹1,田尻 孝2,恩田昌彦2,江見 充1 (1日本医大・老人研・分子生物,2同・一外科)
Analysis of DNA aberration on long arm of chromosome 4 in hepatocellular carcinomas: Koichi BANDO1,2,Hisaki NAGAI1,Naoki KAWAMURA1,Takashi TAJIRI2,Masahiko ONDA2,Mitsuru EMI1 (1Dept.of Molecular Biology, Institute of Gerontology,2Ist Dept. of Surgery, Nippon Medical School)
[目的]肝癌では、第4番染色体長腕 (4q) 上のヘテロ接合性の消失 (loss of heterozygosity, LOH) が高頻度に認められ、以前より癌抑制遺伝子の存在が示唆されている。しかし、未だこの領域を詳細に解析したという報告はされていない。そこで、我々は肝癌における4q上の癌抑制遺伝子の存在を同定する目的で同領域のLOHの検討、さらに染色体欠失地図の作製を検討した。
[方法]肝癌症例48例の手術検体から抽出した癌組織および正常部組織の各DNAを対象に、4q上の30種類のマイクロサテライトマーカーを用いてLOHの有無を調べた。
[結果]4qのLOHは48症例中、36症例 (36/48、75%) に認めた。また、各症例の欠失領域の検討から、以前より注目されていた4q21-22 (19/36、53%) の他、4q25-27 (10/23、44%)、4q35 (12/29、41%)の合計3ヵ所に共通欠失領域を認めた。
[考察]第4番染色体長腕では、3ヵ所に肝癌発生に関与する遺伝子の存在領域が存在が示唆された。現在、さらに詳細な染色体欠失地図の作製を進めている。