ABSTRACT 1556(P5-17)
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胆嚢癌におけるloss of heterozygosity(LOH)の解析:日高英二,柳澤昭夫,加藤 洋(癌研 病理)

Analysis of loss of heterozygosity(LOH) in gallbladder carcinomas:Eiji HIDAKA,Akio YANAGISAWA,Yo KATO (Dept.of pathol.,Cancer institute)

(目的)胆嚢癌における遺伝子異常の報告は少ない。今回,p53,p16,DPC4,APC遺伝子領域のloss of heterozygosity(LOH)の検討を行い,胆嚢癌の進展とこれら遺伝子との関係を明らかにする。(対象)1980〜1996年に当院外科で切除された胆嚢癌42病変。組織型は高分化型34病変,低分化型5病変,その他3病変。深達度別では粘膜内癌11病変,浸潤癌31病変。(方法)ホルマリン固定パラフィン包埋20μ切片よりmicrodissection法により腫瘍細胞を採取し,DNAを抽出し,microsatellite markerを用いたPCR-LOH法にて解析した。(結果)1)LOHは,p53領域では27/42(64%),P16領域では11/29(38%),DPC4領域では,5/20(25%),APC領域では3/26(12%)であった。2)組織型と各LOHに有意な相関はなかった。3)浸潤とLOHとの関係は,p53領域では粘膜内癌7/11(64%),浸潤癌20/31(65%)で浸潤による差はなかったが,p16領域では粘膜内癌0/7(0%),浸潤癌11/22(50%)と浸潤癌に有意に高かった。(結語)胆嚢癌においてp53領域のLOHは癌の早期の段階で関与しており,p16領域のLOHは癌の進展に関与していると示唆された。DPC4,APC領域のLOHの関与は少ないと考えられた。