ABSTRACT 1559(P5-17)
乳癌における1p36領域の解析と新規癌抑制候補遺伝子p73の検討 : 宍倉朋胤1,2、影山肇1、一宮慎吾1、二村好憲1、尾崎俊文1、崎山樹1、宮内充3、山本尚人3、鈴木正人2、中島伸之2、中川原章1 (1千葉がんセ・研・生化、2千葉大・1外、3千葉がんセ・乳腺外科)
LOH analysis of 1p36 and mutational analysis of the novel candidate gene p73 in human breast cancers : Tomotane SHISHIKURA1,2, Hajime KAGEYAMA1, Shingo ICHIMIYA1, Yoshinori NIMURA1, Toshinori OZAKI1, Shigeru SAKIYAMA1, Mituru MIYAUCHI3, Naoto YAMAMOTO3, Masato SUZUKI2, Akira NAKAGAWARA1 (1Div. Biochem., Chiba Cancer Center Res. Inst., 21st Dept. of Surg. Chiba Univ., 3Div. Breast Surg., Chiba Cancer Center.)
(目的)乳癌を含む多くの癌で高頻度にLOHが認められる領域の一つとして1p36があり、癌抑制遺伝子の存在が示唆されている。今回、16個のマーカーを用いてこの領域の詳細なLOH解析を行った。同時に、最近この領域にマップされた、p53と構造的・機能的に高い相同性を有する新規癌抑制候補遺伝子p73の乳癌においての変異・発現を調べ、p73が乳癌の癌抑制遺伝子として発癌過程に関与するかを検討した。
(対象・方法)乳癌患者96例について1p36を中心に設定した16個のmicrosatellite markerを用い、LOHを検索した。またDNAを用いたPCR-SSCP法にてp73の変異を検索した。
(結果・考察)全症例の46.8%にLOHが認められた。p73についてのLOH頻度は19%であり、SSCPにおいてexon9とexon14に移動度の異なるbandを認めたが、sequenceの結果は全てアミノ酸置換を伴わないpolymorphismであり、p73遺伝子の変異は認められなかった。今回の結果より1p36のp73よりcentromere側に癌抑制遺伝子の存在が示唆され、現在、共通欠失領域をさらに狭めるべく検討中である。