ABSTRACT 1566(P5-18)
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RelAの機能:in vivoにおける抗アポトーシス活性:土井貴裕1,M.W. Marino2,高橋利忠1,坂倉照好3,吉田利通3,L.J. Old2,小幡裕一1 (1愛知がんセ・研・免疫,2ラドウィック癌研,3三重大・医・1病理)

RelA mediates an anti-apoptotic siganal that protects normal cells from TNF-induced cell death in vivo: Takahiro DOI1, Michael W. MARINO2, Toshitada TAKAHASHI1, Teruyo SAKAKURA3, Toshimichi YOSHIDA3, Lloyd J. OLD2, Yuichi OBATA1 (1Lab. Immunol., Aichi Cancer Center Res. Inst., 2Ludwig Inst. for Cancer Res., 31st Dep. Pathol., Mie Univ. School of Medicine )

[目的] Nuclear Factor(NF)-κBは、細胞外からの刺激を核内に伝える情報伝達因子として働く。本遺伝子群の機能の解明を目的として、NF-κBの主要な構成因子であるRelA遺伝子を欠失したマウスを作出した。RelA欠失マウスは胎生14.5日〜15.5日に肝細胞のアポトーシスで死亡する。最近、NF-κBがTNFによるアポトーシスを阻止する活性(抗アポトーシス活性)を担うことが、in vitroの実験から示唆された。そこで我々は、RelAならびにTNFを共に欠失するマウスの作出を試みた。[結果] TNF-/-RelA-/-マウスは、TNF-/-RelA+/-マウス同士の交配からメンデルの法則通りの比率で産出し、SPFの条件下では生後40日まで全例が生存している。このTNF-/-RelA-/-マウスは新生仔期には組織学的異常を認めなかったが、生後40日では肝臓と肺に異常を認めた。さらに、TNF+/+RelA-/-マウス胎仔を用いて胎生期におけるTNFの発現を調べたところ、胎生11.5日にはTNFが産生されていることが確認された。したがって、RelA遺伝子欠失マウス(TNF+/+RelA-/-)は、胎生期に存在するTNFによって引き起こされた肝細胞のアポトーシスが原因で死亡することが明らかとなった。以上のことから、RelAは発生過程においてTNFによるアポトーシスから正常な細胞を保護していることを、in vivoにおいて証明することができた。