ABSTRACT 1568(P5-18)
Parp遺伝子欠損マウスES細胞株由来teratocarcinomaにおけるSTGCの出現:野崎中成1, 益谷美都子1, 渡辺昌俊2, 落谷孝広3, 鈴木宏志4, 中釜 斉1, 杉村 隆1(1国立がんセ・研・生化, 3分子腫瘍, 2三重大・医・病理, 4中外製薬)
Presence of STGC in teratocarcinoma derived from Parp-deficient mouse embryonic stem cells : Tadashige NOZAKI1, Mitsuko MASUTANI1, Masatoshi WATANABE2, Takahiro OCHIYA3, Hiroshi SUZUKI4, Hitoshi NAKAGAMA1, Takashi SUGIMURA1 (1Biochem. Div., 3Genetics Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 2Dept. Pathol., Sch. Med., Mie Univ., 4Chugai Pharm. Co., LTD.)
Poly(ADP-ribose) polymerase (Parp, EC 2.4.2.30)は遺伝子安定性に関与することが知られており、腫瘍発生における本酵素の役割について検討した。複数のParp欠損マウス胚性幹細胞株を樹立し、8 週令Balb/c雌ヌードマウスの皮下に移植した。Parp-/-, Parp+/-株では親株J1(Parp+/+)と同様に腫瘍形成能が認められ、分化度の異なる多彩な組織を構成成分にもつteratocarcinomaの組織像を呈した。さらにParp-/-株の腫瘍では、上記組織所見に加え、syncytiotrophoblastic giant cell (STGC)を伴う顕著な出血巣が出現した。STGCは巨核や多核を有する巨細胞で、胚細胞性腫瘍における血行性転移の指標とされているがその出現機構は明らかではない。TeratocarcinomaにおけるSTGCの出現にParp欠損が関与することが示唆される。現在、さらに詳細な組織学的検討を行っている。