ABSTRACT 1579(P5-20)
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子宮内膜癌におけるPTEN遺伝子の解析: 田代浩徳1, 片渕秀隆1, 岡村 均1, Lora Hedrick21熊本大・産婦, 2Johns Hopkins大・病理)

Analysis of PTEN gene in endometrial carcinoma: Hironori TASHIRO1, Hidetaka KATABUCHI1, Hitoshi OKAMURA1, Lora HEDRICK2 (1Dept. of Ob. Gy., Kumamoto Univ., 2Dept. of Pathol., Johns Hopkins Univ.)

目的: 子宮内膜癌の約40%において染色体10qの loss of hetrozygosity (LOH) が報告されている。 最近、10q23.3 に位置する putative tumor suppressor gene として PTEN遺伝子が同定された。今回、子宮内膜癌32例においてこの PTEN遺伝子の変異解析を行った。方法:Microsatellite Instability (MI)およびp53遺伝子の解析が既に行われている米国人の子宮内膜腺癌32例(類内膜型 26例、漿液型 6例)のDNAおよびRNAを用いて、Protein truncation test、Sequence analysis、LOH analysisを行い、PTENの変異の解析を行った。成績:子宮内膜癌32例中16例 (50%)にPTENの変異が認められた。組織型別では類内膜型の62% (16/26)にPTENの変異が認められたが、漿液型には1例も (0/6)認められなかった。また、MI陽性類内膜型の86% (12/14)にPTENの変異が認められた。LOHの解析を行い得たMI陰性である11例の類内膜型と5例の漿液型において、それぞれ6例の類内膜型と1例の漿液型で10q23領域のLOHが認められた。このLOHがみられた類内膜型6例の中で、3例にPTENの変異が認められた。一方、p53の変異は漿液型の全例 (6/6)に認められたが、類内膜型では12% (3/26)にのみ認められた。結論:子宮内膜癌の腫瘍形成において、類内膜型はPTENの変異が関与している可能性が示唆され、この変異はMI陽性例に多くみられた。一方、子宮内膜癌の漿液型ではPTENの変異がみられず、p53の変異が認められた。このことから、子宮内膜癌の類内膜型と漿液型の発生には分子生物学的にそれぞれ異なるoncogenesisの過程が考えられた。