ABSTRACT 1581(P5-20)
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肺小細胞がんにおけるFHIT遺伝子の異常およびFHITタンパクの発現:竹内朋代1,猪野義典2,松野吉宏2,広橋説雄2,野口雅之11筑波大・基礎・病理,2国立がんセ・研・病理)

Abnormality of FHIT gene and expression of FHIT protein in small cell lung cancer:Tomoyo TAKEUCHI1,Yoshinori INO2,Yoshihiro MATSUNO2,Setsuo HIROHASHI2, Masayuki NOGUCHI1(1Dept. of Pathol. , Inst. of Basic Med. Sci.,Univ. of Tsukuba, 2Pathol. Div. Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

 がん抑制遺伝子の候補として3p14.2から単離されたFHIT遺伝子は肺がんをはじめ、各種のがんにおいてその転写異常が報告されている。しかしながら、非がん組織における転写異常の報告もあり、FHITの異常とがん発症の関与は明らかでない。我々は3p14.2領域のloss of heterozygosity(LOH)、RT-PCR法、免疫沈降法を用いて肺小細胞がんにおけるFHIT遺伝子の転写異常、FHITタンパクの発現について解析した。9例の手術的に切除された肺小細胞がんのメタノール固定材料よりDNAおよびRNAを抽出し、同じ検体の新鮮凍結材料よりタンパクを抽出してサンプルとした。9症例中7例にLOHを認めた。RT-PCRを行うことのできた4例にはすべてがん組織での転写異常が確認された。また免疫沈降法を用いた解析で非がん組織、がん組織ともにFHITタンパクの発現が認められた。転写異常を確認できた4例のうち3例にLOHがみられた。LOHをもたない症例は免疫沈降法ではがん組織は非がん組織に比べてFHITタンパクの発現が低下していた。LOHを確認できた3例のうち1例は同様にがん組織の発現低下が認められたが、2例では両組織とも同程度の発現であり、LOH、転写異常、タンパク発現量の三者に明らかな関係は認められなかった。