ABSTRACT 1583(P5-20)
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卵巣癌、子宮内膜癌における FHIT 遺伝子の解析:尾崎圭一郎,吉野潔,榎本隆之,中嶌竜一,千森弘子,孫紅波,木村美晴,中村隆文, 村田雄二(大阪大・医・産婦)

Mutations of the Fragile Histidine Triad (FHIT) gene in endometrial and ovarian cancers : Keiichiro OZAKI, Kiyoshi YOSHINO, Takayuki ENOMOTO, Ryuichi NAKASHIMA, Hiroko CHIMORI, Kouha SON, Miharu KIMURA, Takafumi NAKAMURA, Yuji MURATA
(Dept. of Obs.& Gyn.,Fac.Med.Osaka Univ.)

[目的]FHIT遺伝子は3p14.2に存在する癌抑制遺伝子の候補として最近単離された。現在まで種々の癌組織においてtranscriptの異常が指摘されており、今回、我々は卵巣癌および子宮内膜癌におけるFHIT遺伝子の異常を検討し発癌との関系を明らかにすることを目的とした。[方法]卵巣癌32例、および子宮内膜癌31例の手術摘出標本からDNAおよびRNAを抽出しFHIT遺伝子異常をFHITcDNAのexon3−exon10を増幅するRT-PCR法、sequencing法で解析した。また、3pのLOHをFHIT遺伝子内に位置するmicrosatellite marker (D3S1300) について解析した。[成績]卵巣癌11/32例(34%)(漿液性4/13例、粘液性2/6例、類内膜性1/4例、明細胞癌2/6例)および子宮内膜癌9/31例(29%)(高分化型5/18例、中等度分化型1/5例、低分化型1/3例)に1つ、あるいは複数のexonの欠失をもつtranscriptの異常が認められた。3pにおけるLOHは卵巣癌 5/24例(21%)、子宮内膜癌 5/22例(23%)に認められた。また、卵巣癌10/32(31%)、子宮内膜癌8/31(26%)において両側の Allele が不活化されていた。[結論]FHIT遺伝子の異常は卵巣癌および子宮内膜癌においても、その発癌に関与していることが示唆された。また、現在、サザンブロット解析によりゲノムDNAの構造異常について検討中であるのでその結果もあわせて報告する。