ABSTRACT 1584(P5-20)
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小児悪性腫瘍と正常組織におけるFHIT遺伝子異常の解析: 林 泰秀1, 朴 慧英1, 楊 宏偉1,2, 滝 智彦1,大西宏明1, 別所文雄1(東大・医・小児・小児外)

Analysis of FHIT genes in childhood malignancies and normal tissues: Yasuhide HAYASHI1, Hui Ying PIAO1, Hong Wei YANG1,2, Tomohiko TAKI1, Hiroaki OHNISHI1, Fumio BESSHO1, (1Dept. Pediatr., and 2Pediatr. Surg., Faculty Med., Univ. Tokyo)

【目的】小児悪性腫瘍および正常組織においてFHIT遺伝子の発現を検索し、その意義を検討した。【対象と方法】ALL細胞株43株(T-ALL15株、c-ALL17株、B-ALL 11株)、 AML17株、CML5株; 神経芽腫(NB) 20検体 (細胞株10株、新鮮腫瘍10例)、横紋筋肉腫(RMS)8株、Ewing肉腫(EWS)9検体(細胞株7株、新鮮腫瘍2例)、正常末梢血14検体についてFHIT遺伝子の発現をnested RT-PCR 法で検討し、異常転写産物の塩基配列を決定した。またこれらのDNAレベルでの異常をサザン解析により検討した。【結果】得られたFHIT遺伝子転写産物は組み合わせにより4型に分類できた。I型は正常の転写産物のみ、II型は正常転写産物と他の転写産物、III型は正常転写産物を認めず、他の転写産物のみ、IV型は正常を含め転写産物を認めず。正常末梢血14検体中5検体がI型、9検体(61.5%)がII型だったため、III型とIV型が異常転写と考えられた。白血病65株中51株(78.4%)はI型とII型、2株(3.1%)はIII型、12株(18.5%)はIV型であった。EWSの細胞株3株と新鮮腫瘍1例でIV型が認められ、III型は認められなかった。NBとRMSではIII型とIV型は認められなかった。サイズの異なる産物は欠失と挿入であった。IV型のサザン解析では異常はなかった。【考案】FHIT遺伝子の転写産物を4型に分類し、転写異常は白血病では比較的高頻度にみられ、固形腫瘍ではEWSでは高頻度であったが、RMSとNBでの頻度は低く、腫瘍によりFHIT遺伝子の関与に相違がみられた。