ABSTRACT 1590(P5-20)
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B細胞性悪性リンパ腫におけるTCL1遺伝子の発現とその機能:中山 伊知郎1、村尾 真一1、魚住真樹1、北澤 荘平1、北澤 理子1、前田 盛11神戸大・医・病理二)

Expression of TCL1 oncogene in B cell lymphoma and its functional analysis:Ichiro NAKAYAMA1,Shinichi MURAO1,Masaki UOZUMI1,Sohei KITAZAWA1,Riko KITAZAWA1,Sakan MAEDA11Dept. of Pathol.,Kobe Univ.)

[目的]TCL1はT細胞性白血病の高頻度切断点14q32.1近傍からクローニングされた遺伝子で、114個のアミノ酸をコードし、主に細胞質内に14KDの蛋白として認められる。現在まで、その機能については殆ど知られていない。 今回、我々はTCL1蛋白に対するラビット抗血清を作成することと、TCL1の発現亢進が見られたB細胞性リンパ腫細胞にアンチセンスを導入することによりTCL1の役割を検討した。[方法]抗体の作成はPinPointTMXaベクターを用いた。TCL1遺伝子の転写領域をベクターに組み込み、大腸菌にfusion protein を産生させた。これをウサギ皮下に6週間隔で2回免疫し、抗血清を得た。さらに、TCL1の発現が増殖に対する影響を検討する目的で、上記のTCL1遺伝子を pRc/CMV ベクターにアンチセンスの方向に組み込み、B細胞性リンパ腫細胞株へ導入した。[結果]免疫染色に用いたB細胞性リンパ腫11例の内、TCL1が50%以上の腫瘍細胞で発現していたものが4例、全体の50%以下で、弱い反応を示したものが4例であった。また、遺伝子導入実験では、アンチセンスを TCL1 発現の亢進を示す4株の細胞株に試みたが、その内、SKW4細胞への導入に成功し、TCL1mRNAの発現の減弱を示す2つの異なるクローンを得た。TCL1 mRNA の発現抑制がより強いクローンでは有意な細胞増殖の抑制が見られた。