ABSTRACT 1593(P5-20)
癌抑制遺伝子p130の口腔扁平上皮癌に対する免疫組織学的所見と臨床病理組織学的所見との関連性について:田中信幸1、小田島哲世2、中野敏昭3,、近藤裕亮1、小浜源郁1、山田俊平4(札幌医大・医・1口外・2中研病理、3,九大・歯・歯放、4東京医歯大・歯・第1口外)
Investigation of correlation of suppressor oncogene p130's immunohistochemical- and clinico-pathological findings of oral squamous cell carcinomas;Nobuyuki TANAKA1,Tetsuyo ODAJIMA2,Toshiaki NAKANO3,,Hiroaki KONDOH1,Gen-iku KOHAMA1, Shunpei Yamada4(1Dept.of Oral Surgery,2Dept.of Pathology,Sapporo Medical Univ.Sch.Med.,3,Dept.of Dental Radiology,Fac.of Dentistry,Kyusyu Univ., 4The 1st Dept.of Oral and Maxillofacial Surgery, Tokyo Med.and Dental Univ.)
近年p53とともに癌抑制遺伝子であるRB遺伝子の類似の因子としてp130のDNAがクローニングされ、p130遺伝子は肝癌、前立腺癌、乳癌などで新たな癌抑制遺伝子である可能性が示唆されている。従って、これは口腔扁平上皮癌の浸潤、転移に関わる重要な癌抑制遺伝子である可能性があり、われわれは口腔癌の発生およびその進展におけるこの遺伝子の関与について検索し、口腔癌の分子診断を目指している。
今回、われわれは110例の口腔粘膜扁平上皮癌症例に対して、試験切除時あるいは手術時に得られた癌組織のパラフィン包埋材料に対して、ABC法に準じて抗p130ポリクロナール抗体を用いて免疫染色を行った。
p130陽性例は58例で、それらの5年累積生存率は86.1%であったのに対し、陰性例52例では62.5%であった。臨床所見、病理組織学的の各カテゴリー別にp130の陽性率を比較した。高分化型、浸潤様式が低く、細胞異型度の低い症例にp130陽性が多くみられた。