ABSTRACT 1595(P5-20)
染色体8p21に存在するDR5遺伝子のゲノム構造解析と大腸癌における異常の検索:新井健広1、秋山好光2、岡部聡1、岩井武尚1、斎藤澄3、湯浅保仁2(1東京医歯大・医・一外、2同・医・衛生、3国際医療セ・病理)
Analysis of the DR5 gene in colorectal carcinomas : Takehiro ARAI1, Yoshimitsu AKIYAMA2, Satoshi OKABE1, Takehisa IWAI1, Kiyoshi SAITOH3 and Yasuhito YUASA2 (11st Dept. Surg., 2Dept. Hygiene & Oncology, Tokyo Med. & Dent. Univ. Sch. Med., 3Dept. Pathol., Internatl. Medical Center of Japan)
【目的】大腸癌の進展に伴って染色体8p21-22のLOHの頻度が高くなることが知られているが、同部位に最近同定されたTNF受容体ファミリーに属するDR5について遺伝子構造を明らかにし、更に大腸癌との関連性を検討した。
【対象と方法】遺伝子構造の解析は正常人のDNAについてLA-PCRおよび Suppression PCR法により増幅し、direct sequence法にて行った。遺伝子異常の解析は進行大腸癌の原発巣15症例、肝転移巣10症例、リンパ節転移巣9症例、大腸癌細胞株7例の計41例を対象とし、ゲノムDNAについてイントロン内のプライマーを用いてPCR-SSCP法にて行った。
【結果】DR5遺伝子は9個のexonからなっていることを明らかにし、exon-intron junctionの周囲の配列を決定した。RT-PCRにより全大腸癌細胞株においてDR5の発現を認めた。大腸癌41例中に遺伝子変異は認めなかった。exon1、2、5のpolymorphismを利用してPCR-SSCPもしくはRFLP法によってLOHの検出を行ったところ、17例中9例にLOHを認めた。
【考察】 DR5遺伝子の変異を認めなかったことと、細胞株においてその発現の異常が無かったことよりこの遺伝子の大腸発癌への関与は少ないと考えられた。