ABSTRACT 1650(P6-4)
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胃癌におけるE-cadherin,β-cateninの発現パターンと組織型,予後との関連について:武元浩新,土岐祐一郎,塩崎 均,辻仲利政,井上雅智,矢野雅彦,門田守人(阪大・医・二外)

Relationship of E-cadherin and β-catenin expression with histology and prognosis for gastric cancers:Hiroyoshi TAKEMOTO, Hitoshi SHIOZAKI, Yuichiro DOKI, Masatoshi INOUE, Toshimasa TSUJINAKA, Morito MONDEN (Dept. of Surgery II, Osaka Univ.)

【目的】β-cateninは細胞膜で接着分子E-cadherinの機能の制御と、細胞内で癌抑制遺伝子APCのシグナル伝達の二つの役割を有する。胃癌におけるβ-cateninの変化をこの観点より検討した。【方法】stage II, IIIの進行胃癌50例の組織標本を用い, β-catenin, E-cadherinの免疫組織染色を行った。【結果】β-cateninの発現は、膜型(9例)、細胞質型(14例)、減弱型(23例)、過剰発現型(4例)に分けられ、膜型は全例高分化型でE-cadheinも膜型が多かった。減弱型は、分化度が低い傾向にあり、殆どの症例(21/23)でE-cadheinも減弱していた。細胞質型はびまん浸潤型に多く見られ(10/14例)、全例E-cadheinは減弱していた。過剰発現型は核及び細胞質に極めて強く染色された。予後に関しては、E-cadhein、β-cateninとも、膜型が他の発現型に比べて有意に予後良好であった(p<0.05)。【考察】β-cateninはE-cadherinの発現に相関するが、細胞質や核での発現性は特異的で胃癌の複雑な組織型とよく関連していた。E-cadhein、β-cateninは有意な予後規定因子であり、臨床応用が期待される。