ABSTRACT 1653(P6-4)
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神経芽腫及びPNET (primitive neuroectodermal tumor ) 培養細胞株に於けるcadherin, cateninの発現の検討:
下野隆一1, 2, 松原修一郎1,高松英夫2,福重隆彦2,小沢政之1, (1鹿児島大第二生化,2鹿児島大小児外)

The Expression of Cadherin and Catenin in the Human Neuroblastoma and PNET (primitive neuroectodermal tumor) cell lines
Ryuichi SHIMONO1, 2, Syuichiro MATSUBARA1, Hideo TAKAMATSU2, Takahiko HUKUSHIGE 3, Masayuki OZAWA1
(1 Dept. of 2nd Biochem., 2 Dept. of Pediatr. Surg., Kagoshima Univ. )

<目的>cadherin, cateninの研究は盛んであるが,これまで神経芽腫での研究報告はほとんど見られない.今回我々は神経芽腫に於けるcadherin,cateninの発現について培養細胞株を用いて検討を加えた.
<実験材料及び方法>実験材料としては神経芽腫の培養細胞株5種類(SK-N-SH, NB39, IMR32, SK-N-MC, NB1)とPNET(Primitive Neuro-Ectodermal Tumor )株1種類(Muraoka)を使用した.実験方法はcadherin,cateninの蛋白レベルでの解析にWestern blot法を用い,細胞内での局在部位を見るために免疫染色を行なった.また接着機能を分析するためにaggregation assayを,cadherinとcateninの結合状態を分析するために免疫沈降法を行った.
<結果及び結論>抗N-cadherin抗体でのWestern blotではSK-N-SH, NB39, IMR32でN-cadherinが発現しており,PNETのMuraokaではP-cadherinを発現していた.α,β,及びγ-cateninはN-またはP-cadherinを持つ4つの培養株とまだcadherinの見つかっていないSK-N-MCにて発現していた. しかし、NB1ではcadherin, cateninとも発現は見られなかった.aggregation assayではN-cadherinまたはP-cadherinを発現している4つの培養株でカルシウム存在下に集塊を形成した.しかしSK-N-MCはカルシウム存在下でも集塊を形成しなかった.SK-N-MCのβ-cateninによる免疫沈降ではα-cateninと120KDの分子が共沈しており,この120KD分子はcadherinである可能性が示唆された.