ABSTRACT 1655(P6-4)
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子宮内膜癌の癌化過程におけるbeta-cateninの局在・発現異常に関する免疫組織化学的検討:(札幌医大・産婦、斉藤 豪、根井英行、水元久修、黒木勝円、山名香織、工藤隆一)

Aberrant localization and expression of beta-catenin during carcinogenseis of endometrial epithelium : Tsuyoshi SAITO, Hideyuki NEI, Hisanobu, MIZUMOTO, Katsumaru KUROKI, Kaori YAMANA, Ryuichi KUDO (Dept. of Obstet. and Gynecol. , Sapporo Med. Univ.)

[目的] E-cadherin結合蛋白であるbeta-cateninはAPC遺伝子産物とも結合し、細胞接着としての働きのみならずtumor initiatorとしての機能を有していることが近年の研究で明らかになってきた。また、大腸ポリープではAPCの分子異常によって過剰発現したbeta-cateninは核や細胞質に集積していることが免疫組織化学的に明らかになっている。今回我々は正常子宮内膜、子宮内膜増殖症そして子宮内膜腺癌において、(alpha-, beta-, gamma-) catenin、APCの発現と局在を免疫組織化学的に検討し、子宮内膜癌の発癌過程におけるAPC/beta-cateninの分子異常の関与を考察した。
[実験と方法]正常子宮内膜30例、子宮内膜増殖症10例、子宮内膜異型増殖症10例そして子宮内膜癌30例 (G1,10; G2, 10; G3, 10) の手術摘出標本を対象とし、これらを抗(alpha-, beta-, gamma-) catenin、APC抗体によって免疫染色した。
[結果と考察] beta-cateninは正常子宮内膜では全例細胞接着面に染色像が認められたものの、子宮内膜増殖症では40%、子宮内膜癌では33%に細胞質あるいは核に濃染像が認められ、子宮内膜癌の発癌過程の早期の段階でbeta-cateninの局在・発現異常が観察され、この段階で大腸癌と同様にAPC/ beta-cateninの分子異常が引き起こされている可能性が示唆された。