ABSTRACT 1656(P6-4)
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A431細胞のEGF受容体, E-cadherinおよびbeta-cateninの相互作用の解析:梅木靖浩, 武藤理, 佐藤寧, 吉田憲司, 吉岡年明, 榎本克彦(秋田大・医・病理)

Interaction between EGFR, E-cadherin and beta-catenin in A431 cells : Yasuhiro UMEKI, Osamu MUTO, Yasushi SATO, Kenji YOSHIDA, Toshiaki YOSHIOKA, Katsuhiko ENOMOTO (Dept. of Pathol., Akita Univ.)

<目的>増殖因子EGFの受容体であるEpidermal Growth Factor Receptor (EGFR)が、Adherence junction膜裏打蛋白beta-cateninを介してE-cadherinと複合体を形成している可能性が最近示された。我々はEGFRを高発現しているA431ヒト扁平上皮癌細胞株を用い、共焦点レーザー顕微鏡(LSM)によるそれらの細胞内局在、および免疫沈降法による三者の結合を検討した。さらにEGF刺激によるEGFRやbeta-cateninのリン酸化と細胞増殖との関連、およびEGFRのキナーゼ阻害薬の影響についても検討した。<方法>コラーゲンコートしたカバーグラス上にA431細胞をまき、特異抗体を用い蛍光二重染色後LSMで観察した。またA431細胞の界面活性剤で可溶化した分画について、特異的抗体で免疫沈降後、免疫染色を行った。チロシンリン酸化の検索には抗リン酸化チロシン抗体PY-20を用いた。EGFの阻害実験にはEGFRの特異的キナーゼ阻害薬チロホスチン25を用いた。<結果と考察>LSMによる検索ではEGFR, beta-catenin およびE-cadherinはA431細胞の細胞間接着部の細胞膜に局在し、相互にほぼ一致した。抗EGFR抗体で免疫沈降するとEGFRとともにbeta-catenin, E-cadherinが共沈したことから、これら三者が複合体を形成していることが確認できた。EGFで刺激するとEGFRとbeta-cateninのリン酸化が亢進し、細胞増殖が誘導された。一方チロホスチン25処理によりこれらのリン酸化と増殖が抑制されたことから、A431細胞の増殖にはEGFR とbeta-cateninのリン酸化が関与していることが示された。現在、EGF刺激によりEGFRとbeta-cateninのリン酸化が亢進したときの三者の結合状態の変化について検索している。