ABSTRACT 1657(P6-4)
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aカテニン分子内のaアクチニン結合領域は上皮組織構築に必須である:前野良人1,2,永渕昭良1,月田承一郎11京大・医・分子細胞情報,2阪大・医・2外)

a-Actinin-binding Domain of a Catenin Is Required for Epithelization : Yoshito MAENO1,2, Akira NAGAFUCHI1, Shoichiro TSUKITA1 (1Dept. Cell Biol., Fac.Med., Kyoto Univ., 2Dept. Surgery II, Osaka Univ., Med. Sch.)

我々はαカテニンの機能解析を行うため、マウス奇形癌腫F9細胞のαカテニン遺伝子を標的組換え法により破壊しαカテニンダブルノックアウトF9細胞(αD-F9細胞)を単離した。今回、これまであまり機能の明らかにされていないαカテニン分子内のαアクチニン結合領域の機能を検討するため、正常なαカテニン(α)とαアクチニン結合領域を欠損した変異型αカテニン(α*)をαD-F9細胞に強制発現させ、得られた細胞の性質を解析した。まず細胞の接着能を細胞解離実験により検討した。αD-F9細胞ではF9細胞の持つ強固な接着性が喪失しているが、αおよびα*を発現させた細胞はどちらもこの強固な接着性が回復していた。次にF9細胞が高分化型の上皮組織構築を示す培養条件下でこれらの細胞を培養した。αD-F9細胞は同様の条件下で培養しても低分化型の形態しか示さなかったが、それにαを発現させた細胞ではF9細胞と同様高分化型の上皮組織構築を示した。一方α*を発現させた細胞はαD-F9細胞と同じ低分化型の形態しか示さなかった。
【結語】αカテニン内のαアクチニン結合領域はカドヘリンの接着能ではなく上皮組織の構築に必須である。αカテニンの発現が見られるにもかかわらず低分化型の組織形態を示す癌細胞において、αアクチニン結合領域の変異を検討する必要がある。