ABSTRACT 1659(P6-4)
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担癌肝の非癌部、癌部における細胞間コミュニケーションの相異と意義について- connexin32と26の発現動態からみて -:村松 哲、岩井眞樹、原田義規、田中斉祐、森 敬弘、岡上 武、小堀信秀1)、加嶋 敬(京都府立医大三内、同脳外科1)

Significance of Gap Junctional Intercellular Communication in Hepatoma and Non-Hepatoma Area - By Differential Expression of Cx32 and Cx26 - : Akira MURAMATSU,Masaki IWAI,Yoshinori HARADA,Saiyu TANAKA,Takahiro MORI,Takeshi OKANOUE,Nobuhide KOBORI1,Kei KASHIMA (3rd Dept.of Int.Med.,1Dept.of Neurosurg.,Kyoto Pref. Univ. of Med.)

[目的]Gap junction ( GJ ) は細胞間のコミュニケーションを担う結合小器官で、増殖、分化の統一制御を果たすと言われているが、無秩序な増殖を有する担癌肝で構成蛋白connexin(Cx)の発現動態からみたGJ形成の報告は少ない。今回ラットおよびヒト担癌肝の癌部、非癌部におけるGJ形成とその意義について検討した。[方法、材料]0.06%DAB投与後の肝癌発生呑竜ラットと、ヒト肝細胞癌合併肝硬変11例(HCV6例、HBV2例、NBNC3例)の手術材料より非癌部、癌部を採取した。(1)両Cx蛋白は、抗Cx32モノクローナル抗体および抗Cx26ポリクローナル抗体を用いた蛍光抗体法で観察した。(2)両mRNAはnon-RI DIG SYSTEMによるNorthern blot法で観察した。[結果](1)非癌部;Cx32 mRNAの発現は、ラット、ヒトともに正常肝と同様かやや減少し、Cx26 mRNAはラットで増多した。Cx32蛋白の発現は、ラット、ヒトともに小葉内にびまん性に認められ一部の領域で減少した。Cx26蛋白はラットの門脈域で、ヒトではびまん性に増加する所見を認めた。(2)癌部;Cx32 mRNAの発現はラット、ヒトともに減少し、Cx26 mRNAはラットで減少した。両Cx蛋白は、ラット、ヒトともにほぼ消失した。[結語]癌部ではラット、ヒトともにCx32および26の発現が著明に減少し、GJを介した増殖、分化の統一制御が不完全と考えられた。非癌部の両Cxは相補的に発現している所見がみられ、病態変化を明らかにするには、両Cxの発現を同時に検討する必要があると考えられた。