ABSTRACT 1662(P6-4)
新規レチノイド(TAC - 101)の腎尿管細胞のギャップ結合に及ぼす影響 : 渡辺淳一、佐藤秀祐、野口満、野俣浩一郎、金武洋、斉藤泰(長崎大・医・泌)
Effect of newly synthesized retinoid, TAC - 101, on the gap junctional intercommunication (GJIC) in MDCK cells : Jun-ichi WATANABE, Hidesuke SATO, Mitsuru NOGUCHI, Koichiro NOMATA, Hiroshi KANETAKE, and Yutaka SAITO (Dept. of Urol. Nagasaki Univ. Sch. Med. )
目的;レチノイドのギャップ結合(GJIC) に及ぼす影響はコネキシン蛋白のリン酸化に関与するか否かという点や、mRNAの発現を増強 / 抑制するかという点で 細胞の種類により様々である。我々は第56回本学会で腎尿細管細胞においてATRAがコネキシン43 mRNAの発現を増強させプロモーターによるGJICの抑制を阻止することを報告した。今回は、新規合成レチノイドであるTAC - 101 (大鵬薬品)を用い MDCK細胞のGJICに及ぼす影響とその作用機序の検討をATRAとの比較により行った。方法;MDCK細胞にTAC - 101を72時間作用させた後 腎腫瘍プロモーターであるKBrO3 (5mM), Dimethylnitrosamine (DMN) (1%M/W) や 12-O-tetradecanoyl-phorbol-13-acetate (TPA) (1.6μM)を15分間曝露しその際のGJICやコネキシン43蛋白・mRNAの変化を免疫染色、Western blot analysis、Northern blot analysisにより解析する。結果;TAC - 101を72時間作用させると コネキシン43蛋白の発現が著しく増加していたが泳動バンドのシフトは明かでなかった。蛋白のリン酸化には影響せず 蛋白の発現を増強することにより活性型のコネキシンを増加させる作用はATRAと同様と思われた。現在蛋白の局在におよぼす影響や機能的意味、RNAレベルについて詳細に検討中である。