ABSTRACT 1666(P6-4)
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頭頸部扁平上皮癌におけるCD44variant発現の臨床病理学的意義:菅家稔1,藤井正人1,徳丸裕1,今西順久1,冨田俊樹1,亀山香織2,松村保広3 (慶大・1 耳,2 病理,3 国立がんセ・内)

Expression of CD44 Variants in Human Head and Neck Squamous Cell Carcinoma: Minoru KANKE1, Masato FUJII1, Yutaka TOKUMARU1, Yorihisa IMANISHI1, Toshiki TOMITA1, Kaori KAMEYAMA2, Yasuhiro MATSUMURA3 (1Dept.of Otolaryngol. and 2Pathol., Keio Univ. Sch. Med., 3Dept. of Int. Med., Natl. Cancer Ctr. Hosp.)

【目的】頭頸部扁平上皮癌(HNSCCs)における生物学的悪性度の指標としてCD44変異体(CD44v)の意義を検討する。【方法】HNSCCsの原発巣113例、転移巣17例のホルマリン固定切片をSTUF下マイクロウェーブ処理後、CD44st,v6,v2に対する単クローン抗体を用い免疫染色を行い、それらの発現と臨床病理学的因子との比較検討を行った。【結果】113例のCD44st,v6,v2の発現率は、それぞれ98.2%,91.2%,58.4%であった。原発巣別の検討では、上咽頭癌の発現がその他の原発巣に比較し有意に低下していた(p<0.0001)。分化度との関係では、分化度が低下するに従いv6,v2の発現が有意に低下していた(p<0.0001)。頸部転移との検討では、v6の発現が低下するに従い頸部転移率が有意に上昇していた(p=0.04)。腫瘍径,再発率,化学療法の効果との検討ではCD44vの発現と有意な相関は認められなかった。生存率との検討では、v6では相関は認めなかったが、v2において発現陽性例の累積生存率が75.3%で、発現陰性例が41.2%で有意に発現陰性例が予後不良であった(p=0.03)。さらにこの結果に性別,年齢,原発部位,腫瘍径,頸部転移の有無,分化度の因子を加えた多変量解析においても、v2発現の因子は有意な予後因子として抽出された。17例の頸部転移巣と原発巣の発現の比較では発現レベルに有意な違いは認められなかった。【結語】HNSCCsにおいてCD44v6の発現は頸部転移の予測因子として、また、CD44v2の発現は独立した予後因子として有用であると考えられた。