ABSTRACT 1670(P6-4)
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皮膚腫瘍におけるmoesin発現の検討: 市川 健1, 増本純也2, 金児みわ子1, 斎田俊明1, 谷口俊一郎21信州大・皮, 2信州大・加齢適応研究センター)

Moesin expression in cutaneous tumours: Takeshi ICHIKAWA1, Junya MASUMOTO2, Miwako KANEKO1, Toshiaki SAIDA1, Shun'ichiro TANIGUCHI2 (1Dept. of Dermatol., 2Reseach Center on Aging and Adaptation, Shinshu Univ., Sch. Med.) 

ERM(ezrin, radixin, moesin)ファミリーの一つである moesin はアクチンフィラメントと細胞膜表面に存在するCD44を結合するクロスリンカーとしての機能をもつ。今回われわれは様々な皮膚腫瘍におけるmoesin発現をCD44スタンダード、CD44v6とともに免疫染色法にて検討した(抗moesinモノクローナル抗体は京都大学月田博士より供与)。正常表皮では基底細胞の細胞質と細胞膜、有棘細胞の細胞膜に陽性所見が得られ顆粒細胞層、角層は陰性であった。基底細胞上皮腫, Bowen 病, 外陰部Paget病, verrucous carcinoma, 日光角化症は陰性〜弱陽性、有棘細胞癌, ケラトアカントーマはheterogenousな染色性がみられ弱〜中等度陽性を示した。色素細胞母斑、melanoma in situ は強陽性であり、悪性黒色腫では皮膚原発巣におけるtumor thicknessが増すにつれ減弱傾向がみられ、また皮膚、リンパ節転移巣においても発現は低下していた。以上のように moesin発現には各腫瘍に依存した特性がみられCD44スタンダードとほぼ同様の分布を示した。メラノサイト系腫瘍では悪性化との逆相関が示唆された。現在、CD44リガンドであるヒアルロン酸発現との関連性を検討中である。