ABSTRACT 1671(P6-4)
ヒト肺がんにおけるFocal Adhesion Kinase (FAK)の発現とチロシンリン酸化の検討:森永暢浩1,2、茂木晃2、佐々木麻里子1、竹之下誠一2、矢追義人1、横田淳1(1国立がんセ・研・生物、2群馬大・医・一外)
Expression and tyrosine-phosphorylation of Focal Adhesion Kinase in human lung cancer : Nobuhiro MORINAGA1,2, Akira MOGI2, Mariko SASAKI1, Seiichi TAKENOSHITA1, Yoshihito YAOI1, Jun YOKOTA1 (1Biology Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 2First Dept. Surg., Sch. Med., Univ. Gunma )
Focal Adhesion Kinase (FAK)は細胞の接着斑に存在するチロシンキナーゼであり、インテグリンの活性化、v-Srcなどによりチロシンリン酸化を受ける。ヒトがん細胞株、がん組織において高発現しているとの報告があるがチロシンリン酸化については検討されていない。今回、ヒト肺がん細胞株16種、肺がん及び正常肺の臨床検体5例、肺線維芽細胞株2種について、FAK蛋白の発現量とそのチロシンリン酸化を抗FAK抗体、抗ホスホチロシン抗体によるイムノブロット法にて比較検討した。FAKの発現量は、肺がん細胞株、肺がん組織、肺線維芽細胞株では同程度で、いずれも正常肺組織より高かった。チロシンリン酸化は、肺がん細胞株で低下しており、特に肺小細胞がん由来の非接着性細胞株2種では、チロシンリン酸化を認めなかった。また、肺がん組織でも、正常肺組織より低下していた。以上より、FAKのチロシンリン酸化の低下が、細胞の接着性の低下、がん細胞の転移の過程に関与している可能性が示唆された。