ABSTRACT 1672(P6-4)
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未分化血液系細胞腫で選択的に発現するJS-2抗原の解析:野村純(千葉大・医・2生化)

Molecular cloning and biochemical analysis of JS-2 Ag : Jun NOMURA (Dept. of Biochem. Sch. Med. Chiba Univ.)

(目的)血液系細胞の初期分化に骨髄微小環境は、これら未分化細胞を支持及び増殖因子の供給に重要である。我々は骨髄微小環境を解析する過程で骨髄ストローマ細胞とともに未分化血液系細胞腫で選択的に発現するJS-2抗原を見い出し解析を行った。(方法及び結果)人骨髄ストローマ細胞株W/WXを抗原としてモノクローナル抗体を作製した。ストローマ細胞表面分子を認識する抗体の中で、JS-2抗体は130 kDaの糖タンパクを認識した。JS-2抗原はpro B、pre B細胞腫の一部、更に赤芽球細胞腫K562、未分化単核球細胞腫U937で発現が認められた。しかし成熟リンパ細胞腫では発現していなかった。興味深いことにJS-2抗原は正常人骨髄細胞では1%以下の亜集団にしか発現していなかったが、3例中2例の再構築された骨髄では約10%の亜集団がJS-2抗原を発現していた。さらにJS-2抗原陽性血液系細胞腫を抗体刺激するとホモタイピックな細胞凝集が誘導されることが示された。抗体カラムでJS-2抗原を精製しアミノ酸シークエンスを行い、この結果をもとにcDNAクローニングしたところJS-2抗原はIg-gene superfamilyに属する新しい人膜分子であった。(考察)JS-2抗原は細胞外部分にインテグリンの主な結合部位であるRGDモチーフを持ち、細胞接着に関与する可能性が考えられる。現在JS-2抗原の発現調節機構、機能及びリガンドの解析を行っている。なお当研究はアラバマ大学ハワードヒューズ研究所のMax D. Cooper教授のもとで行われた。