ABSTRACT 1673(P6-4)
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胃癌の増殖転移におけるCD9・インテグリンα発現の意義:矢野正二郎,孝冨士喜久生,武田仁良,白水和雄(久留米大学医学部・外科)

Significance of expression of CD9 and integrin α3 during gastric cancer invasion and metastasis: Shojiro Yano, Kikuo koufuji, Jinryo Takeda, Kazuo Shirouzu (Dept.of.Surg.,KurumeUniv.)

【目的】CD9は膜四回貫通型蛋白質であり,膜結合型の増殖因子HB-EGFと細胞膜上で複合体を形成し,ジャクスタクライン細胞増殖活性の制御に関与し,さらにインテグリンαβ1が同部位に存在することが証明され,3者で複合体を形成し,細胞の接着性・運動性にも影響を与えていると考えられる.これらの事からCD9の,細胞の癌化に伴う増殖能や運動能の変化への関与が考えられ,胃癌原発巣および転移巣でのCD9.インテグリンα3の発現の有無を検索した.【方法】胃癌原発巣47例,リンパ節転移巣10例,肝転移巣3例,腹膜播種巣5例,正常胃組織22例についてメッセージレベルでの発現の有無を検討した.【結果】CD9は原発巣47例中mRNAの発現が40例(分化型21:未分化型19)85.1%で認めた.リンパ節転移巣では8例80%,肝転移巣で3例100%,腹膜播種巣で3例60%に発現を認めた.正常胃組織では5例22.7%のみ陽性.インテグリンα3もCD9と同様の発現傾向にあった.【結論】胃癌原発巣,転移巣でのCD9,インテグリンαのmRNAの発現率は正常胃組織での発現率より有意に高値であり,胃癌の増殖・転移へのCD9の関与が示唆された.