ABSTRACT 1674(P6-4)
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テネイシン−C遺伝子欠失マウスを用いたモノクローナル抗体の作製とその応用:吉田利通, 土屋拓郎, 坂倉照好(三重大・医・第一病理)

Production of monoclonal antibodies against tenascin-C (TN-C) using TN-C knock-out mice and their applications : Toshimichi YOSHIDA, Takuro TSUCHIYA, Teruyo SAKAKURA (Dept. of Pathol., Mie Univ. Sch. Med)

TN-Cは悪性腫瘍、組織再構築などの生体反応で発現している。ヒトとマウスのTN-Cはかなりの相同性があり、個体作製が困難だが、両者に交差する抗体を作製すれば、ヒト疾患に対するTN-Cを標的とした臨床的予備実験を、同一抗体を用いてマウスモデル動物でも行うことが可能になる。そこでヒトTN-CをTN-C遺伝子欠失マウスに免疫し、高力価で交差性の広いモノクローナル抗体の作製を試みた。
【方法】ヒトU251MG神経膠細胞株からAUKHILらの方法によりヒトTN-Cを精製した。このTN-CをTN-C遺伝子欠失マウスに免疫し、脾細胞とミエローマ細胞(Sp2/0)を融合させた。この融合細胞を培養し、ELISA法、Western blotting法を用いてスクリーニングを行い、力価の高いクローンを選択した。また、蛍光標識抗体をGRS/Aマウスに発生した乳癌内に注入した。
【結果と考察】作製したモノクローナル抗体はWestern blotting法でヒトとマウスのTN-Cに選択的に反応した。ヒト大腸癌組織のパラフィン切片を染色し、間質の陽性染色を得た。一部の抗体はマウス胎児組織でもTN-Cの陽性像を認め、両者への交差性が確認できた。さらに、乳癌内に注入された抗体は少なくとも1週間は癌間質のTN-Cに結合し残留していた。よって、作製されたモノクローナル抗体は目的に適ったものであり、幅広い応用があると考えられる。