ABSTRACT 1675(P6-4)
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子宮頚部癌化過程における syndecan-1 発現 : 平林 啓、沼 文隆、河崎恵子、坂口優子、村上明弘、馬屋原健司、縄田修吾、尾縣秀信、住浪義則、加藤 紘(山口大・産婦)

Expression of syndecan-1 in the human uterine cervical neoplasm : Kei HIRABAYASHI, Fumitaka NUMA, Keiko KAWASAKI, Yuko SAKAGUCHI, Akihiro MURAKAMI, Kenji UMAYAHARA, Shugo NAWATA, Hidenobu OGATA, Yoshinori SUMINAMI and Hiroshi KATO ( Dept. of obstetrics and gynecology, Yamaguchi Univ, Sch. of Med.)

【目的】Syndecan-1 は細胞膜貫通型プロテオグリカンであるが、細胞の悪性化に伴いその発現の減弱ないし消失が指摘されている。今回我々は子宮頚部における syndecan-1 発現、特に癌化過程におけるその発現の変化を検討した。【検体および方法】検体には正常子宮頚部 6例、上皮内腫瘍 19例(CIN I: 4例、II: 4例、III: 11例)、浸潤癌32例を用いた。免疫組織染色にはパラフィン包埋切片を用い、1次抗体に抗ヒト syndecan-1 モノクローナル抗体を用い SAB 法にて施行した。RT-PCR の primer は増幅領域が cDNA 配列より coding region の一部を含むよう設定し、PCR 産物は sequence により cDNA と一致することを確認した。【結果】免疫組織染色において正常子宮頚部では全例重層扁平上皮の傍基底層から中層領域までの細胞表面に syndecan-1 の発現が認められた。CIN IIIおよび浸潤癌での発現は減弱ないし消失していた。もっとも浸潤癌でも角化型の一部には発現が認められ、リンパ節転移陽性例のうち転移巣において原発巣より発現の亢進している例(4/12)がみられた。RT-PCR でも免疫染色とほぼ同様の結果が得られた。【結論】一般にsyndecan-1 は正常子宮頚部扁平上皮で発現するが、癌化に伴い発現が減弱した。しかし転移巣において発現の亢進した例もあることから、その発現と細胞動態との関係につき現在検討中である。