ABSTRACT 1676(P6-4)
MMP-9産生における口腔癌細胞と線維芽細胞との相互作用について:池辺哲郎,別府真広,篠原正徳,中村誠司,白砂兼光(九大・歯・2口外)
The effects of sromal fibroblasts on the expression of MMP-9 in oral squamous carcinoma cells: Tetsuro IKEBE, Mahiro BEPPU, Masanori SHINOHARA, Seiji NAKAMURA, Kanemitsu SHIRASUNA (2nd Dept. of Oral & Maxillofac. Surg. Kyushu Univ.)
【目的】癌細胞の浸潤・転移に周囲間質が様々な影響を与えることが知られている。そこで、間質細胞が口腔癌細胞のMMP-9産生に及ぼす効果について検討した。【方法】上顎歯肉扁平上皮癌より樹立した細胞株TU-4と同腫瘍間質由来の線維芽細胞とを用いて、癌細胞-線維芽細胞共存培養系と単独培養系との比較を行った。(1)MMP-9の産生と発現をゼラチンザイモグラムとPCR法にて解析した。(2)ボイデンチャンバー変法により細胞の運動能を検討した。(3)転写因子の活性をゲル移動度シフトアッセイにて解析した。【結果】(1)TNFで刺激すると、TU-4と線維芽細胞との共存培養系では前駆型と活性型のMMP-9の生成が蛋白レベル、mRNAレベルで増強された。(2)MMP-9発現増強効果は正常歯肉由来の線維芽細胞でも見られ、その濃度に依存していた。(3)この作用は線維芽細胞の培養上清等では代替できなかった。(4)線維芽細胞と共存培養することによって転写因子NF-κBの活性化は亢進し、AP-1の発現が増大していた。(5)TU-4の運動能も線維芽細胞と共存することによって促進された。【まとめ】口腔扁平上皮癌細胞のMMP-9発現は線維芽細胞の共存によって著しく増強された。そのメカニズムとして癌細胞の転写因子が活性化されることが考えられた。