ABSTRACT 1682(P6-5)
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ヒト卵巣類内膜腺癌培養細胞株(NOMHー1)の樹立とその性状:山田隆司1,笠松 源1,神田隆善21市立枚方市民病院・産婦,2国立大阪南病院・産婦)

Establishment and characterization of a cell line (NOMH-1) derived from human endometrioid adenocarcinoma of the ovary : Takashi YAMADA1, Hajime KASAMATSU1, Takayoshi KANDA2 (Dept. Obstet.& Gynecol., 1Hirakata City Hosp., 2Osakaminami National Hosp.)

[目的]今回われわれは、新しく卵巣類内膜腺癌より細胞株を得たので、その細胞生物学的特性について検討した。[方法]44歳の卵巣癌根治術患者の病巣より無菌的に摘出した腫瘍組織を培養材料として用いた。原腫瘍組織は、一部で乳頭状発育を示す類内膜腺癌であった。細胞分散法により初代培養を行い、Ham's F-12培地で静置培養し、上皮性腫瘍細胞の純培養系が得られた。以後約 5年間の継代培養に成功している。本培養細胞株をNOMH-1と命名し、その形態学的特徴および生物学的特性について検討した。[成績]単層培養細胞は紡錘形ないし多稜形で、シート状配列を示し、容易に重積する。核は一部で多核・巨大核を呈し核小体を数個有し、核染色質は粗顆粒状である。継代 5代目の倍加時間は 273時間、細胞密度は 3.7 x104/cm2、コロニ−形成率は3.6%、分裂指数は 4.9%であった。染色体数は異数性に分布し高 3倍体にモードがあり核型分析でも異常を示した。ヌードマウスへの異種移植可能で原腫瘍と類似した腺癌を形成した。また腫瘍マーカーは TPA, CEA, CA 19-9を産生していた。[結論]4年以上の培養期間、形態学的な細胞異型性、染色体の異常、異種移植可能などの諸項目よりNOMH-1が卵巣類内膜腺癌由来の細胞株であることが証明された。本疾患の診断・治療のための基礎的研究に非常に有用な細胞株と思われた。