ABSTRACT 1686(P6-5)
 ポスターセッション一覧 トップ 


新たなスキルス胃がん細胞株の樹立と遺伝子増幅:柳原五吉1、佐々木博己2、上田哲也2、根津雅彦2、桑原勝孝2、山田行重2、菅野康吉3、寺田雅昭2 (国立がんセ・研・1実験動物、2分子腫瘍、国立がんセ・中央病・3臨床検査)

Establishment of new cell lines of scirrhous type of gastric cancer and their genetic alterations: Kazuyoshi YANAGIHARA1, Hiroki SASAKI2, Testuya UEDA2, Masahiko NEZU2, Yoshitaka KUWAHARA2, Yukishige YAMADA2, Kokichi SUGANO3, and Masaaki TERADA2 (1Cent. Animal Lab.,2Genetics Div, Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 3 Dept. clinical Lab., Natl. Cancer Ctr. Hosp.)

胃がんは本邦で最も頻度の高いがんであり、種々の病理組織型に分類される。そのうちスキルス胃がんは浸潤能が高く、発見時に腹膜播種がみられるものが多いなど予後不良である。スキルス胃がん細胞の生物学的特性を把握するうえで、培養細胞株の樹立は重要な課題の1つである。しかし、現在までに樹立された細胞株は我々が樹立したHSC-39, 43を含めKATOIII(関口ら、東大・医科研)、 OCUM2M(八代ら、大阪市立大・医)などと限られている。今回、新たに2つの高分化腺癌由来細胞株、HSC-42, 57と低分化腺癌由来細胞株、HSC-64及びスキルス胃がん由来細胞5株、HSC-44PE, 45, 58, 59, 60を樹立した。胃がんにおける遺伝子増幅は高分化型ではc-ERBB2, CAB1および C51を含む染色体17q12領域およびCyclin Eを含む19q12領域が選択的に増幅し、低分化型ではK-SAM/ FGFR2を含む10q26領域が選択的に増幅する。またc-myc (8q24), c-MET (7q31)および AKT1 ( 14q32-33)の増幅は組織型に依存しない。本学会では樹立細胞株の生物学的性状並びにSouthern blot法や染色体in situ hybridization法による遺伝子増幅の解析結果を報告する。