ABSTRACT 1688(P6-5)
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舌原発巣から樹立した高,低浸潤能を有する二種類のヒトロ腔扁平上皮癌細胞株UM1およびUM2の性状:中山周子,佐々木朗,目瀬浩,松村智弘(岡山大・歯・口外2)

Establishment and characterization of high- and low-invasion of two human oral squamous cell carcinoma cell lines (UM1 and UM2) derived from a primary lesion of the tongue: Shuko NAKAYAMA, Akira SASAKI, Hiroshi MESE, Tomohiro MATSUMURA (Dept. of Oral & Maxillofac. Surg. II, Okayama Univ. Dental Sch.)

〔目的〕癌の浸潤転移機構の解析は癌研究における重要な課題であり,異なる浸潤能を有する細胞株はその解析に極めて有用である.今回,同一原発部位より高・低浸潤能を有する2種のヒトロ腔扁平上皮癌細胞株の樹立に成功したので報告する.〔方法および結果〕患者は47歳,男性で,リンパ節転移を有する舌原発低分化型扁平上皮癌(進展型)と診断された.未治療の生検材料の一部よりexplant法を用いて細胞を得た.初代培養での遊出細胞は,比較的散在性に成長する細胞と,島状コロニーを形成し増殖する細胞が認められたため,段階希法にて細胞をクローニングし,散在性に増殖し敷石状を呈するもの・UM1,コロニーを形成し増殖するもの・UM2を得た.両細胞株ともケラチン蛋白陽性でヌードマウス可植性を示し,組織像はUM1では筋への浸潤を認め,UM2では認めなかった.UM1はUM2と比較し、Raft Cultureにて浸潤能,Wound Asssayおよび金コロイド法では運動能が高かった.Gelatin-ZymogramにてMMP2,9の産生を両細胞で認めたが,特にUM1において高く,活性型MMP2も認めた.Western blotting法ではUM1はE-Cadherin,α-,β-,γ-Cateninの発現の低下を認めた.現在120代,約3年間継代するもその性状は保存されている.〔結論〕UM1およびUM2はそれぞれ高・低浸潤能を示し,口腔癌の浸潤機構の解明に有用な細胞株と思われた.