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ヒト悪性黒色腫細胞株HOMM(melanotic type)とHTMM(amelanotic type)の樹立と性状:
石川 博^１、石渡 勇^２、木口一成^３、相馬雅行^４、大谷昌子^１（^１慈恵医大・解剖、^２石渡産婦人科病院、^３聖マリ医大・東横病院・産婦、^４茨城県総合健診協会）

Establishment and characterization of human malignant melanoma cell lines (HOMM and HTMM): Hiroshi ISHIKAWA¹, Isamu ISHIWATA², Kazushige KIGUCHI³, Masayuki SOMA⁴, Masako OHTANI¹ (¹Dept. of Anat., Jikei Univ. Sch. of Med., ²Ishiwata Obstet. Gynec. Hosp., ³Dept. of Obst. Gynec. Toyoko Hosp. St. Marianna Univ. Sch. of Med., ⁴Ibarakiken Health Service Association)

[目的] 子宮頚部由来の悪性黒色腫細胞株の報告はない。我々は子宮頚部および頚部悪性黒色腫を培養し、それぞれの細胞株HOMM、HTMMを樹立した。そこで、これらの株の細胞生物学的性状を比較検討した。 [方法] HOMM株は66歳女性子宮頚部腫瘍(melanotic type)を、HTMMは71歳女性の頚部腫瘍(amelanotic type)を初代培養し樹立した。株細胞の細胞生物学的性状を検討した。[成績]HOMMは紡錘形、多綾形で細胞突起を有し、足場依存性の増殖を示す。細胞質内にはメラニン顆粒が多量に含まれる。免疫染色にてS100P、NSEは陽性である。5X10⁵個の細胞が2日間に産生する主な腫瘍マーカーはBFP（106 ng/ml），HVA（73 ng/ml）、5HIAA (60.1 ng/ml）、NSE（73 ng/ml）である。また、 IL-1β、IL-6、IL-8を産生する。倍加時間は78時間、コロニー形成率は12％である。ハムスターへの移植で悪性黒色腫を形成する。染色体は異数性の幅広い分布を示しモードは68、核型はヒト型で種々のマーカーが認められる。一方、HTMMは類円形で多くは浮遊増殖し乳頭状の細胞集塊を形成する。細胞質内にはメラニン顆粒を認めない。ヌードマウス皮下にamelanotic melanomaを形成する。[結論]全く性状の異なる悪性黒色腫細胞株HOMMとHTMMを樹立した。