ABSTRACT 1696(P6-5)
骨髄間質細胞を用いた急性リンパ芽球白血病(ALL-L3)細胞株(BALM-18)の樹立とその性状について:杉本朗、西崎千春、原島哲、松尾良信、折田薫三(林原生化研・藤崎細胞セ)
Establishment of a human acute lymphoblastic leukemia (ALL-L3) cell line (BALM-18) using bone marrow stroma cells: Akira SUGIMOTO, Chiharu NISHIZAKI, Akira HARASHIMA, Yoshinobu MATSUO and Kunzo ORITA (Fujisaki Cell Ctr., Hayashibara Biochemical Labs., Inc. )
急性リンパ芽球性白血病(ALL-L3)患者(35歳男性)の末梢血から骨髄間質細胞(BST)をフィーダー細胞として白血病由来の細胞株(BALM-18)を樹立した。BST非存在下の培養では細胞株の樹立はできなかった。細胞膜表面抗原の検索を行ったところ、免疫グロブリンの発現はkm型でハ、CD10, CD20, CD77, HLA-DRが陽性、CD23, CD39は陰性で診断時のそれと同様、バーキットリンパ腫グループIII表面抗原発現型を示した。また、BALM-18はt(8;14)(q24;q34)染色体転座を有し、EBNAは陰性であった。BALM-18は、BSTの存在下に徐々に増殖を開始し、3週目より細胞の増殖は旺盛となった。以後BST非依存性となり自己増殖を開始するに至った。BALM-18は、抗ヒトIgM抗体(5 μg/ml)刺激に強い感受性を示し、24時間以内に著名なアポトーシスが誘導された。また、このアポトーシスはBSTならびに抗ヒトCD40抗体により抑制・回避された。このことは、かかる疾病に由来する細胞のアポトーシス機序の解明に有用であると考えられる。