ABSTRACT 1698(P6-5)
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p53点突然変異をもつNK細胞株 (YG-1) の樹立: 八木田正人1, 梅原久範2, 黄 政龍3, 尾西理英1, 小中義照11田附興風会医研/北野病院内, 2大阪歯大内, 3 田附興風会医研/北野病院胸外)

Establishment of NK cell line cells with p53 point mutation: Masato YAGITA1, Hisanori UMEHARA2, Huang CHENG-LONG3, Rie ONISHI1, Yoshiteru KONAKA1 ( 1Dept. of Internal Med., Kitano Hospital, 2Dept. of Internal Med., Osaka Dental Univ., 3Dept. of Thoracic Surg., Kitano Hospital)

今回、われわれはaggressive NK cell leukemia の症例末梢血よりIL-2依存性に増殖する興味あるNK細胞株を樹立したので報告する。症例は45才。女性。平成9年7月より出血斑が増強し、本院へ入院。末梢血血液検査にて白血球数45500/μlで、うち93%が細胞質の大きい病的リンパ球であった。この病的リンパ球は形態上顆粒が目立たないものの、CD3-、CD8+, CD25-, CD16+, CD56+であり、また、T 細胞受容体の再構成を認めず、NK細胞由来であると考えられた。 この末梢血リンパ球より細胞株YG-1を樹立した。 YG-1細胞はIL-2 依存的増殖を示し、CD3-, CD25-, CD16-, CD56+, CD122+であった。また、K562細胞に対する細胞障害活性を示した。YG-1細胞のp53変異をPCR-SSCPで調べたところ、Exon 7に変異が認められ、DNA sequenceの結果、codon 248のnucleotide 877のCがTへ変異していることが判明した。同様のp53点突然変異を患者末梢血リンパ球においても認めた。(結語): p53の点突然変異 (Exon 7のcodon 248, C ---> T)がNK細胞の腫瘍化に果たす役割は今後の課題であるが、細胞株の樹立はNK細胞腫瘍化の機構解明に有用である。