ABSTRACT 1706(P6-6)
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非ステロイド性抗炎症薬による大腸癌細胞株へのアポトーシスの誘導:
明石浩史1,2、韓恵程1、今井浩三2、中村祐輔1
1東大・医科研・ヒトゲノム解析センター・シークエンス解析., 2札幌医大・医・一内)

 Growth-suppressive effect of non-steroidal anti-inflamatory drugs (NSAIDs) to colon cancer cell lines.
Hirofumi Akashi1,2, Hye-Jung Han1, Kohzoh Imai2, Yusuke Nakamura1
(1Dept.Mol.Med.,Inst.Med.Sci.,Univ.Tokyo., 2First Dept. Int. Med. Sapporo Medical Univ.) 

 現在まで、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与による大腸癌の予防効果、家族性大腸腺腫症患者における腺腫抑制などが報告されてきているが、その詳細な機序は解明されていない。今回、われわれは、NSAIDsとしてaspirin、sulindac、sulindacの代謝産物であるsulindac sulfide、sulindac sulfoneを用いて大腸癌細胞株に対する影響を検討した。大腸癌細胞株11種類に上記薬剤を投与し,MTT法、細胞数計測にて細胞増殖に対する影響を検討したところ、aspirinでは明らかな差を認めなかった。しかし、sulindac、sulindac sulfide、sulindac sulfoneの投与では一部の細胞株に対しては増殖抑制、細胞死等等をひきおこすことがわかった。これら薬剤に対する感受性が最も高い細胞株SW480、最も抵抗性があるSNU-C4、およびこれらの中間のHT-29を用いて形態学的な変化を検討したところ,sulindac投与にてSW480では細胞が紡錘形化すること、HT-29では著明な空胞形成がおこっていることが明らかとなった。また、フローサイトメトリーを用いた解析では、SW480においてsulindac投与72時間後よりsub G1 population出現し、以後経時的な増加を認め、細胞死の誘導されていることが示唆された。これらをdifferential display法にて解析した結果、これらの過程に関与すると考えられる複数の遺伝子を単離しており、これらも併せて報告する。