ABSTRACT 1708(P6-6)
レクチン処理基質上での肺小細胞癌培養細胞株の神経様突起形成性:田中和彦1、寺崎武夫2、(国立がんセ・研・1放射線、2病理)
Neurite-like outgrowth in small cell lung cancer cell line on lectin-treated substrate.: Kazuhiko TANAKA1,Takeo TERASAKI2,(1Radiobiol.,2Pathol. Div., Natl. Cancer Center Res. Inst.)
(目的)肺小細胞癌培養細胞株Lu-134A(細胞塊の浮遊状態で増殖)を肺腺癌培養細胞株PC-9の細胞外マトリックス(PC-9ECM)上で培養すると、細胞塊の接着とscattering及び神経様突起の形成と伸展が起こる事を本学会で報告してきた。今回、糖結合特異性を示す各種レクチンを用いて、PC-9ECMが有する神経様突起形成性への影響を調べた。(方法)PC-9ECMを各種レクチン(WGA,GS-1,ConA)で処理、洗滌後、Lu-134Aをこの基質上に接種し、細胞塊の接着性、scattering、神経様突起の形成、伸展性をControl(レクチン未処理PC-9ECM)と比較した。(結果)1)WGA叉はGS-1処理PC-9ECM上では、Controlと同様に、細胞塊の接着と神経様突起形成、伸展が起こり差は、認められなかった。2)ConA処理PC-9ECM上では、細胞塊の接着性が増強する傾向が認められ、scatteringと神経様突起形成性が著しく阻害された。3)ConAに結合特異性を示すマンノースをConA処理時に添加すると、scatteringと神経様突起の形成がみられ、阻害回復が認められた。このマンノース効果は、ガラクトースを用いた時には認められなかった。(結論)基質として用いたPC-9ECMにマンノース型糖鎖の存在が示唆され、接着したLu-134Aの細胞塊のscatteringと神経様突起の形成に関与していると考えられた。