ABSTRACT 1709(P6-6)
腎細胞癌におけるSPARC/osteonectinの発現に関する検討:馬場理也1,酒井直樹1,加藤靖正1,長嶋洋二2,小林一樹1,金子茂樹1,近藤慶一1,吉田 実1,岸田 健1,河上 哲1,穂坂正彦1,矢尾正祐1(横浜市大・医・泌1, 横浜市大・医・2病理2)
Over-expression of SPARC/osteonectin in renal cell carcinoma :Masaya BABA1, Naoki SAKAI1,Yasumasa KATO1, Yoji NAGASIMA2,Kazuki KOBAYASHI1,Shigeki KANEKO1, Keiichi KONDO1, Minoru YOSIDA1, Takeshi KISIDA1, Satosi KAWAKAMI1, Masahiko HOSAKA1and Masahiro YAO1 (1Dept. of Urol.,2Dept. of second pathol.,Yokohama City Univ.)
【目的】SPARC(Secreted Protein Acidic and Rich in Cystein)/osteonectinは43kDaの分泌糖蛋白である。その機能は多彩で、血管新生、細胞接着、細胞増殖、細胞-細胞外基質相互作用等において様々な役割を演じている。その発現は組織再構築が盛んに行われている間質において顕著である。また、メラノーマをはじめ一部の腫瘍では腫瘍細胞自身がこの蛋白を産生しており、悪性度、造腫瘍性との密接な関連が示唆されている。腎細胞癌においてSPARCの発現を調べ、病理組織学的分類とあわせて検討した。
【対象,方法】腎細胞癌57例の手術検体を用いnorthern blottingにて発現量を、免疫染色法により組織内のSPARCの局在を調べた。
【結果】northern blotting 法ではclear,chromophilic,spindle cell typeで中等度から高度にSPARCの発現を認めた。特にspindle cellでは極めて高い発現が見られた。免疫染色において、spindle cell typeは腫瘍細胞自体が染色されたが、他の腫瘍では腫瘍間質内の血管内皮細胞が染色され腫瘍細胞自体は染色されなかった。以上よりSPARCは、腎細胞癌の進展において腫瘍型によって異なる役割を果たしている可能性が示唆された。