ABSTRACT 1712(P6-6)
ヒト骨軟部腫瘍患者における血液凝固第XIII因子の変動について; 坂山憲史、 中山温広、 木谷彰岐、(愛媛大;整外)
The study of serum level of coagulation factor XIII in the patients with musukuloskeletal tumors ; Kenshi SAKAYAMA, Atsuhiro NAKAYAMA and Teruki KIDANI (Dept. Orthopaedic Surg., Ehime Univ. Sch. Med.)
(目的)創治癒や組織の再生に、血液凝固第XIII因子(以後F13と略す)が深く関与していることは、よく知られている。今回我々は、F13が骨軟部腫瘍患者において、どのような推移を示すかについて検討を加えた。(方法)当科にて加療した骨軟部腫瘍患者35例(良性15例・悪性15例・癌の骨転移5例)の血清中のF13測定を行った。術前・後のF13の推移を検討したが、手術を行っていない癌の骨転移3例に関してはその自然経過を検討した。コントロール群として、手術を行った脊椎疾患患者15例・関節疾患患者20例での同様の測定を行った。年齢、性別、出血時間、BMIなどの他、あらゆる臨床化学検査所見と、F13値との間の相関関係についても比較検討を行った。(結果)創傷治癒遅延例では全例F13の低下を認めた。骨軟部腫瘍症例ではF13の低下傾向を認めた。癌の骨転移症例では5例ともF13値は著しく低下していた。(考察)領域別にみた創傷治癒遅延・瘻孔の主な原因では、様々な領域にこれらを来しやすい術式がある。我々は整形外科領域として、骨軟部腫瘍広範囲切除術、骨盤半戴術、広範囲にわたるInstruments使用例を加えるべきであると考えた。骨軟部腫瘍患者では、F13値が低下していることが多く、術前にF13製剤投与のStrategyを考慮に入れておく必要があると考えられた。癌の骨転移の症例では全例F13値の低下を認めたことから、これらの患者の褥創の治療にはF13製剤の投与が有効な場合があると考えられた。