ABSTRACT 1739(P7-2)
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卵巣癌における浸潤・転移関連遺伝子発現の解析:岩崎雅宏,西川鑑,荒井宗大,芥川典之,工藤隆一(札幌医大・産婦)

Analysis of gene expressions responsible for invasion and metastasis in ovarian cancer : Masahiro IWASAKI, Akira NISHIKAWA, Munehiro ARAI, Noriyuki AKUTAGAWA, Ryuichi KUDO (Dept. of Ob. and Gyn.,Sapporo Medical University)

[目的]癌の浸潤・転移には様々な因子が関与している。今回我々は、各種マトリックス分解酵素とetsファミリーの発現を解析し、発現パターンと細胞の浸潤、運動能とを比較検討した。 [方法]6種類の卵巣癌細胞株(HTOA, HTBOA, HUOA, AMOC-2, Kfr-13, HNOA)から全細胞RNAを抽出し、ノーザンブロット法により遺伝子発現を解析した。プローブとしては32Pで標識したMMP-1, MMP-2, MMP-9, TIMP-1, TIMP-2, MT1-MMP, MT2-MMP, MT3-MMP,uPA,tPA,PAI-1,PAI-2,ets-1,E1AF cDNAを用いた。また、MMP-2,MMP-9活性に関してはゼラチンザイモグラフィーによりゼラチナーゼ活性を解析した。細胞の運動能は金コロイド法により、浸潤能はマトリゲルを用いたin vitro invasion assayにより検討した。 [結果]MMP-1は高分化型漿液性嚢胞腺癌由来のHUOA,HTOAで発現が見られた。MMP-2は未分化卵巣癌由来のHTBOAでのみ発現していた。全細胞株でいずれかの MT-MMPの発現が認められた。ets-1とuPAの発現は相関がみられた。運動能はHTBOA, HUOAが、浸潤能はHTOA, HTBOAが亢進していた。 [結論]未分化癌由来のHTBOAではMMP-2,MT1-MMPの両者が発現し、ets-1,E1AF,uPA等も発現し、かつ高い浸潤能と運動能を示し、卵巣癌におけるMMP-2,MT1-MMPと転移、浸潤の関係が示唆された。