ABSTRACT 1740(P7-2)
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食道癌の進展とマトリックスメタロプロテアーゼの発現:大橋健一,根本哲生,中村恭一(東京医歯大・病理)

Expression of matrix metalloproteinases and progression of human esophageal squamous cell carcinoma : Kenichi OHASHI, Tetsuo NEMOTO, Kyoichi NAKAMURA (Dept. of Pathol, Tokyo Medical and Dental Univarsity)

食道癌は予後が悪く,sm癌においてもリンパ節転移の頻度が高い.食道sm癌の段階でどのような分子変化が起きているのかは未だ十分明らかにされていない.今回,食道表在癌,進行癌の症例を用いて各種のmatrix metalloproteinases (MMPs)の発現を検討し,癌の進展,リンパ節転移との相関を検討した.症例はsm癌77例,進行癌41例を用いた.各種MMPsの発現は免疫組織学的に検討された.凍結切片を用いた検索では癌細胞にはMMP-2, 7, 9, TIMP-2の発現が高頻度に認められた.MMP-7, 9について全例で検索すると,両者ともにsm1, 2, 3と癌浸潤が進行するとともに陽性率,発現程度が増していく傾向が認められた.特にsm3例の発現については,ほぼ進行癌のものに匹敵していた.多くの例において癌浸潤深部において発現は強く,また粘膜内進展部において発現は認めなかった.リンパ節転移については高発現例において転移の頻度が高い傾向が認められた.食道癌はsm3の段階でリンパ節転移の頻度が著しく上がるが,そのメカニズムとしてMMPsの発現亢進も関与していると考えられる.