ABSTRACT 1741(P7-2)
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胃癌組織でのMMP-1,TIMP-1,procollagenの発現;癌浸潤性と細胞外基質回転の関連:佐藤 永一, 大谷 明夫, 名倉 宏(東北大・院・医・病理形態学)

Expression of MMP-1, TIMP-1, and procollagen in human gastric carcinoma; Is it associated with cancer invasion or stroma remodeling? : Eiichi SATO, Haruo OHTANI, Hiroshi NAGURA (Dept. of pathology, Tohoku Univ. Sch. of Med)

[背景と目的]癌組織でMatrix metalloproteinases(MMPs)は癌細胞が産生する局所浸潤の促進因子とされている.一方悪性腫瘍以外の慢性炎症性疾患,創傷治癒の過程でもMMPsの発現が著明で,tissue remodelingに関与している.我々は胃癌組織を用いてMMP-1,およびtissue inhibitor of metallo proteinases-1(TIMP-1),さらに細胞外基質産生の指標としてtype-1 procollagenに対する免疫組織化学的検討を行い,上記の2つの観点からいずれがより妥当かを検討した.また近年melanomaから同定された膜貫通型serine proteaseであるsepraseに対しても同様の検討を行った.[材料]胃癌組織PLP固定凍結切片39例を用いた.[結果と考察]MMP-1,sepraseともに間質の紡錘形細胞に陽性であり,癌細胞には一般に陰性であった.MMP-1の発現はびまん型胃癌において有意に少なかった.TIMP-1,type-1 procollagenも間質の紡錘形細胞に陽性であった.いずれも免疫電顕でfibroblastに陽性であることを確認した.MMP-1の発現強度とリンパ節転移との間には相関関係は認めず,またより浸潤性の高いびまん型胃癌において有意に発現が低いことと考え合わせ,MMP-1に関しては癌の局所での浸潤促進因子としてよりも間質のremodelingに関与し,びまん型胃癌の大量のcollagen沈着に関与していると思われた.