ABSTRACT 1743(P7-2)
胃がん・大腸がん患者における血漿中Matrix metalloproteinase (MMP)-9の検討:兵頭一之介,土井俊彦,遠藤久之(四国がんセ・内)
A study of plasma matrix metalloproteinase-9 in gastric and colorectal cancer patients: Ichinosuke HYODO, Toshihiko DOI, Hisasi ENDO (Dept. of Int. Med., Natl. Shikoku Cancer Ctr. Hosp.)
〔目的〕MMP-9は92kDa gelatinaseで胃がん、大腸がん組織における発現の増強が報告され癌細胞の浸潤・転移との関連が示唆されている。胃がん、大腸がん患者の血漿中同因子の測定を行い臨床的意義につき検討した。〔方法〕EIA法(富士薬品)により健常成人21例、胃がん44例、大腸腫瘍39例(ポリープ13例、大腸がん26例)の血漿中MMP-9を測定した。またコントロールとしてMMP-3も同時に測定した。
〔結果〕UICCステージ分類別の血中MMP-9値は胃がんStage I (n=8) 25±7.8ng/ml(平均±SD), Stage II/III (n=7) 31±16, Stage IV (n=29) 73±138、大腸ポリープ (n=13) 22±6.6, 大腸がんStage II/III (n=8) 25±9.1, Stage IV (n=18) 47±39と両がん種ともにがんの進展とともに高値を示すものが多かった。健常者は28±21ng/mlであった。MMP-3ではこのような関係は明らかでなかった。症例の測定値の分布より40ng/mlをカットオフ値 (CO)に設定すると転移を有する胃がん29例中10例(34%)、大腸癌18例中5例(28%)が陽性であった。全身化学療法を受けた34症例(胃がん19例、大腸がん15例)を対象に比例ハザードモデルを用いて生存分析を行うと奏効度(PR:NC-PD)、PS (0-2:3), 腹水(有:無)と共にMMP-9値 (CO以下:以上)が有意な因子であった。
〔結論〕胃がん、大腸がん患者の進展度・予後の推定における血漿中MMP-9測定の有用性が示唆された。