ABSTRACT 1747(P7-2)
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ファージライブラリー法を用いたMT1-MMP基質配列の検索:大久保秀一, 宮寺和孝, 杉本芳一, 松尾憲一, 吉田昌彦, 東岡俊之, 山田雄次(大鵬薬品・第一がん研)

Identification of Substrates for Membrane-type 1 Matrixmetalloproteinase using Bacteriophage Peptide Display Libraries : Shuichi OHKUBO, Kazutaka MIYADERA, Yoshikazu SUGIMOTO, Ken-ichi MATSUO, Masahiko YOSHIDA, Toshiyuki TOKO, Yuji YAMADA (Can. Res. Lab., Taiho Pharmaceutical Co., Ltd.)

【目的】膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT1-MMP)は、潜在型ゼラチナーゼ(proMMP2)の活性化を通して癌の浸潤・転移に重要な役割を果たす。MT1-MMPの基質認識の特異性を明らかにするため、ファージライブラリー法を用いた簡便な基質配列検索系を構築し、MT1-MMPにより切断されやすい基質配列の検索を行った。 【方法】 繊維状ファージfdのpIII蛋白質N末端に、ファージを選別するための配列(tether:6xHis)とランダム配列を挿入したペプチドライブラリーを構築した。このファージを組み換え体MT1-MMP(catalytic domain)で切断し、tetherに対するアフィニティーカラムを用い、 tether消失ファージ(ランダム配列がMT1-MMPの基質となり切断されたもの)とtether残存ファージ(ランダム配列が切断されなかったもの)を選別した。tetherを失ったファージを大腸菌で増幅し、更に切断・選別を行うことによりランダム配列が基質となるものを濃縮した。最終的にランダム部アミノ酸配列は、ファージDNAの配列より決定した。 【結果】構築したファージライブラリーによるヒトトロンビンの基質検索を行ったところ、得られたクローンの配列は既知の基質コンセンサス配列とよく一致したことから、この系が簡便で安定したプロテアーゼ基質検索の手段となることが示された。MT1-MMPの基質検索では、MT1-MMPによって切断が明らかとなっているコラーゲンに類似した基質コンセンサス配列が得られた。獲得配列のMT1-MMPによる切断性を解析中である。