ABSTRACT 1755(P7-2)
 ポスターセッション一覧 トップ 


ヒト乳癌における膜型セリンプロテアーゼsepraseの間質線維芽細胞における発現(第一報):有我直宏1,大谷明夫2,大内憲明1,名倉宏2,里見進11東北大・医・外第二,2東北大・院・医・病理形態)

In situ expression of seprase, a membrane-type serine protease, in human breast cancer : Naohiro ARIGA1, Haruo OHTANI2, Noriaki OHUCHI1, Hirosi NAGURA2, Susumu SATOMI1 (1Dept. of Surg.,Tohoku Univ. Sch. of Med.,2Dept. of Pathol., Tohoku Univ. Sch. of Med.)

seprase は分子量 170-kDa の homodimeric な gelatinase 活性を有するプロテアーゼであり、melanoma細胞株 LOX から同定された。その活性は LOX 細胞の浸潤の先端の膜に発現される(J Biol Chem 272; 7595, 1997)。その 97-kDa subunit は fibroblast activation protein α(FAPα) と高度に相同である。我々はそのヒト乳癌における発現を検索した。〔対象〕1985年以降手術を行った初発乳癌症例。〔方法〕パラフィン包埋切片に対し、170-, 97-kDa の双方を認識するモノクロナル抗体 D8 を用い、酵素抗体法を施行した。その結果を臨床病理学的に検討した。〔結果と考察〕46例中27例(いずれも浸潤癌)で間質の紡錘型細胞が陽性であった。それらのほとんどで浸潤癌胞巣の周辺域の線維化病巣で染色性が強く、周囲の正常組織との境界部での発現は弱かった。浸潤癌の周辺域以外で、また、癌細胞自身での発現はみられなかった。seprase 発現の有無で腫瘍径、n 因子、健存曲線、あるいは生存曲線に有意差は認められず、組織型による発現率の差は認められなかった。ヒト乳癌において seprase は癌細胞との相互作用により、線維芽細胞に発現するものと考えられる。線維化の進展との相関がみられた。(本研究は Georgetown Univ., Dr. Wen-Tien Chen との共同研究である。)