ABSTRACT 1756(P7-2)
婦人科腫瘍におけるシステインプロテアーゼ(カテプシンファミリー)とそのインヒビターの発現:西川博,荒川敦志,鈴森薫(名市大・産婦)
Exprssions of cysteine proteinases (cathepsin family) and their inhibitors in gynecological tumor : Hiroshi NISHIKAWA, Atsushi ARAKAWA, Kaoru SUZUMORI (Dept. of Obstetrics and Gynecology, Nagoya City Univ.)
[目的]癌細胞において、その浸潤と転移に関与するといわれる種々のプロテアーゼとそのインヒビターの発現が報告されている。今回我々は、システインプロテアーゼであるカテプシンとそのインヒビターの発現を婦人科腫瘍において調べた。
[方法]臨床検体より得られた卵巣癌及び良性卵巣腫瘍の組織を用い、SDS-PAGE・Western Blotting法、免疫組織染色法により組織内カテプシンの検出を行った。また血清中のインヒビターをELISA法により測定し、卵巣癌患者と良性腫瘍患者の間で比較、検討した。
[結果]Western Blotting法により卵巣癌において組織内のカテプシンBの増加を認めた。免疫組織染色法によりカテプシンBの腫瘍細胞内及び間質での存在を認めた。またそのインヒビターであるシスタチンCの血清中濃度が、良性腫瘍症例(65.7±17.4nM)に比べ卵巣癌症例で(98.2±19.5nM)高値であった。
[考察]卵巣癌の病態においても、カテプシンB-シスタチンC系が活性化しており、癌の生態的特性に関与している可能性が示唆された。