ABSTRACT 1758(P7-3)
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血管新生における転写因子ETS-1の標的遺伝子に関する研究:小田 伸行、安部 まゆみ、佐藤 靖史(東北大・加齢研)

Target genes of transcription factor ets-1 in endothelial cells during angiogenesis : Nobuyuki ODA, Mayumi ABE, Yasufumi SATO (Dept. Vasc. Biol., IDAC., Tohoku Univ.)

<目的>我々はこれまでに血管新生因子の刺激に対応して内皮細胞に転写因子ETS-1が誘導され,ETS-1は血管新生の主要な調節因子として機能することを報告してきた。今回は、血管新生におけるETS-1の標的遺伝子について検討した。
<方法>マウス由来の内皮細胞株(MSS-31)にETS-1遺伝子を導入して発現増強(sense)株と発現抑制(antisense)株を樹立した。親株とsense株、antisense株におけるmatrix metalloproteinase(MMP) -1, -3 および-9 mRNA発現量の比較はRT-PCR法により、またMMP-9の活性はgelatin zymographyで評価した。インテグリンはαv, β3およびβ5について mRNA発現量をRT-PCR法で、β3のタンパク発現量を免疫染色法で評価した。さらにvitronectin-coated dishを用いて細胞の接着性とその際のFAKのリン酸化を検討した。
<結果>MMP-1, -3 および-9 mRNAの発現はsense株で増加しており、MMP-9の活性の増強も認めた。また、各細胞株間でインテグリンαvおよびβ5の発現量に差は認められなかったが、インテグリンβ3の発現はsense株で増加し、antisense株において顕著に抑制されておりantisense株においてvitronectin-coated dish上にinoculateした際の細胞伸展とFAKのリン酸化が阻害されていた。
<結論>血管新生におけるETS-1の標的遺伝子としてMMP-1, MMP-3, MMP-9およびインテグリンβ3が明らかとなった。