ABSTRACT 1760(P7-3)
ラット背皮弁観察窓を用いた腫瘍組織内の血流速度、及び血管径の解析:那須玲子、赤木清(関西医科大学・放射線科)
Analysis of blood flow and vessel diameter in tumor using a transparent chamber : Reiko NASU, Kiyoshi AKAGI (Dept. of Radiology, Kansai Med. Univ.)
[目的]腫瘍組織内の血流測定には種々の方法がある。今回直接、ラット背皮弁観察窓内に成長した腫瘍血管の血流速度、血管径の変化を経時的に測定し、血流動態について解析した。
[方法]乳癌由来の adenocarcinoma 13762の腫瘍片をFisher 344 ratの背皮弁観察窓に移植した。顕微鏡下で同一視野内の腫瘍血流について6時間連続で、CCDカメラ(640倍)を用いてビデオテープに記録し、流速は10分毎に血管内に流れている赤血球で求めた。又、血管径については30分毎にスチール写真を得、計測した。
[結果]腫瘍血管(径5 - 20μm程度)は腫瘍成長に従って、多くの新生血管が形成される。今回測定した7本の腫瘍血管でも、測定開始時と6時間後で血流速度の増大、減少を認め、それに伴い血管径の増大、減少も示した。流速は、20分から40分の間隔で、16.12μm / 0.1sec.から、60.88μm / 0.1sec.の変化を認めた。又、観察期間中 (2時間)でも血管径の増大、減少に関係なく、間欠的血流を認めた。
[結論]腫瘍血管の血流は定常的な流速ではなく、20 - 40分の間欠的血流である事が認められた。